Help:基本構成プロパティ

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はじめに

このページでは、instance of (P31)subclass of (P279)part of (P361)の3つのプロパティの違いについて説明します。

定義

その違いを理解するためには「インスタンス」と「クラス」という概念に慣れることが重要です。クラスは、インスタンスと呼ばれるものの集合(またはコレクション)を記述する抽象的概念です。通常、クラスに属するすべてのインスタンスは、クラスを特徴づけるいくつかのプロパティをそれぞれ共有します。

クラスAのすべてのインスタンスが必然的にクラスBにも属するならば、AはBの下位クラスであるといいます。

ウィキデータでの実用

  • 項目は、インスタンスまたはクラスになることができます。項目がinstance of (P31)を持つならば、その項目はインスタンスです。他の項目のinstance of (P31)プロパティの値として関連付けられている(もしくはsubclass of (P279)プロパティを持つ)ならば、その項目はクラスです。例えば、Angela Merkel (Q567)politician (Q82955)のインスタンスであり、politician (Q82955)profession (Q28640)のインスタンスです。したがって項目politician (Q82955)はクラスでもインスタンスでもあります。
  • 特定のクラスのインスタンスは、ウィキデータの項目としてすべて存在する場合もあれば、一部しか存在しない場合もあります。
  • 典型的には、クラスはすべてのインスタンスが共有するプロパティによって特徴づけられます。インスタンスは、そのプロパティについて持っている値はそれぞれ異なりますが、プロパティ自体を持っているという事実に違いはありません(これはウィキデータによって強制されているわけではありませんが)。

ある共通の特性をもつインスタンスとその特性によって特徴づけられるクラスとの関係はinstance of (P31)で表すことができます。ある項目が、あるクラスのインスタンス(実例)としか言いようがない場合、subclass of (P279)ではなくinstance of (P31)を使います。これはより厳密にいうとrdf:typeです[1]

例えば、Atlantic Ocean (Q97)Pacific Ocean (Q98)は両方ともocean (Q9430)のインスタンスです。したがってウィキデータではこのように表記します。

  • あるクラスのすべてのインスタンスが別のクラスのインスタンスであることを示すために使用されます[2]
  • これはより厳密にはrdfs:subClassOfです[3]
  • 主語クラスのあらゆるインスタンスが値クラスのインスタンスでないならば、subclass of (P279)は適切ではありません。どちらも厳密には他方の下位クラスでないときに、重なる部分があるクラスをリンクするためにpartially coincident with (P1382)を使うことがあります。

いくつかの例:

別の例:

ここで湖と海洋は同じものではありませんが、それらのインスタンスはすべて「水域である」という特性を共有しています。したがってクラスbody of water (Q15324)を使って以下のように示すことができます。

これにより、Lake Baikal (Q5513)Lake Erie (Q5492)Atlantic Ocean (Q97)Pacific Ocean (Q98)はすべてbody of water (Q15324)の「推移的」(間接的な)インスタンスとなります。一般的に、(1)文と(2)問合せ(こちらはこのヘルプページでは扱いません)の両方で、列挙クラス(lake (Q23397)ocean (Q9430))の代わりにより抽象的なクラス(body of water (Q15324)など)を使用することが「可能」です。

推移的プロパティ

プロパティsubclass of (P279)transitive Wikidata property (Q18647515)です。つまり、クラスAがクラスBの下位クラスであり、クラスBがクラスCの下位クラスであるなら、Aは暗黙のうちにクラスCの下位クラスでもあります。 したがって、一般的にAがCの下位クラスであると明示的に宣言する文をウィキデータに追加する必要はありません。

例えば、tree (Q10884)woody plant (Q757163)の下位クラスであり、woody plant (Q757163)plant (Q756)の下位クラスです。したがって、tree (Q10884)は暗黙のうちにplant (Q756)の下位クラスでもあります。

同様にして、項目xがクラスBのインスタンスであり、BがクラスCの下位クラスであるならば、xは暗黙のうちにCのインスタンスでもあります。したがって、一般的にxがCのインスタンスであると明示的に宣言する文をウィキデータに追加する必要はありません。

例えば、Lighthouse of Alexandria (Q43244)lighthouse (Q39715)のインスタンスであり、lighthouse (Q39715)tower (Q12518)の下位クラスです。したがって、Lighthouse of Alexandria (Q43244)tower (Q12518)のインスタンスでもあります。

プロパティinstance of (P31)は推移的ではありません。上記からの例を考えてみます:Angela Merkel (Q567)politician (Q82955)のインスタンスであり、politician (Q82955)profession (Q28640)のインスタンスですが、Angela Merkel (Q567)profession (Q28640)のインスタンスであるというのは間違っています。

推移性に基づく推論は修飾子を考慮に入れないので、instance of (P31)およびsubclass of (P279)の文はあらゆる修飾子を無視したとしても妥当なものでなければなりません。言い換えれば、これらの文はいかなるrestrictive qualifier (Q61719275)も持つべきではなく、いかなる修飾子も制限を課すために使うべきではありません。例えば、AがしばしばBの下位クラスになるものの常にではない場合に、nature of statement (P5102) = often (Q28962312)を伴うAはBの下位クラスであるという文は、推論を失敗に導くので妥当ではありません。

項目はクラスでないもののインスタンスとなることはできませんが、その一部分となることはできます。例えばAlbert Einstein's brain (Q2464312)Albert Einstein (Q937)の一部分です。ウィキデータでは、この関係を表すためにpart of (P361)を使います。

クラスもまた他のクラスの一部分になることができます。例えば、

ここでinstance of (P31)part of (P361)の代わりに使うことはできません。なぜならば、human brain (Q492038)はひとりの個人ではないからです。subclass of (P279)もまた使うことはできません。なぜならば、human brain (Q492038)のインスタンス(例えばAlbert Einstein's brain (Q2464312))はクラス「Homo sapiens (Q15978631)」のインスタンスではないからです。

subclass of (P279)と同様に、part of (P361)は推移的プロパティです。

<span id="Inverse_relations_of_part of (P361)">

part of (P361)と逆関係のプロパティ

  1. has part(s) (P527) - あるインスタンスが他の複数のインスタンスから構成されている、またはあるクラスのインスタンスが他の複数のクラスのインスタンスから構成されていることを示します
  2. has part(s) of the class (P2670) - あるインスタンス(クラスではありません)があるクラスのインスタンスを一部分として含むことを示します。親項目がインスタンスであるのと同時にクラスでもあるならば、has part(s) of the class (P2670)を使うべきではありません。

1番目の例では、Greek alphabet (Q8216)Α (Q9887)を一部分として含むため、has part(s) (P527)を使用します。2番目の例でも、alphabet (Q9779)のインスタンスはletter (Q9788)のインスタンスを一部分として含むため、has part(s) (P527)を使用します。最後の例では、Greek alphabet (Q8216)Greek letter (Q19793459)のインスタンスを一部分として含むためhas part(s) of the class (P2670)を使用します。

instance of (P31) vs. subclass of (P279) vs. part of (P361)

instance of (P31)subclass of (P279)part of (P361)の違い
Property X Y 表す意味 説明 使用しないプロパティとその理由
<X> instance of <Y> インスタンス クラス
  • XはクラスYに属する個体である
  • XはクラスYの特定例である
  • クラスYの全てのインスタンスに共通する特性がある
  • YはXを含むインスタンスの集合である
<USS Nimitz> instance of <supercarrier> <ニミッツ>は具体的な航空母艦の一隻であり、<大型空母>は多くのインスタンス(航空母艦)を持つ航空母艦のクラスである
  • subclass ofは<ニミッツ>がクラスでないため使われない
  • part ofは<ニミッツ>がインスタンスで<航空母艦>がクラスであり、インスタンスがクラスの一部分であってはならないため使われない
<People's Republic of China> instance of <sovereign state> <主権国家>はいくつかの特徴で定義される概念であり、<中国>はこれらの特徴に符合する対象である
  • subclass ofは<中国>が具体的な国であるため使われない
  • part ofはインスタンスがクラスの一部分であってはならないため使われない
<Sun> instance of <G-type main-sequence star> <太陽>はG型主系列星の特徴を持つ特定の星であるため、そのクラスのインスタンスである * subclass ofは<太陽>がクラスではなく単一の天体であるため使われない
  • part ofはクラスでないものがクラスの一部分になることはできないため使われない
<hatter> instance of <profession> <hatter>は職業の実例である
  • subclass ofは<hatter>が職業のクラスではなく一つの職業(インスタンス)であるため使われない
  • part ofはインスタンスがクラスの一部分であってはならないため使われない
<Douglas Adams> instance of <human> <Douglas Adams>は特定の人間である(これはinstance ofの最も一般的な例のひとつである) * subclass ofは<Douglas Adams>が人間のクラスではなく一人の人間(インスタンス)であるため使われない
  • part ofはインスタンスはクラスの一部分にはなれないため使われない
<X> subclass of <Y> クラス クラス
  • クラスXの全てのインスタンスがクラスYにも属する
  • XのインスタンスはYのインスタンスでもある
<supercarrier> subclass of <aircraft carrier> <大型空母>も<航空母艦>もクラスであり、<航空母艦>は<大型空母>を含む
  • instance ofは<大型空母>が具体的な対象ではないため使われない
  • part ofは<大型空母>のインスタンス(例えば<ニミッツ>)が航空母艦のインスタンス(例えば<エンタープライズ>)の一部分ではないため使われない
<sovereign state> subclass of <state> 両方ともクラスであり、前者は後者の特性を全て持つうえに他の特性も持つため、前者は後者の下位クラスである
  • instance ofは<主権国家>が特定の国家ではなく、全ての主権国家を含むクラスであるため使われない
  • part ofは主権国家の一つのインスタンス(例えば<中国>)が別の国家のインスタンス(例えば<中国>)の一部分にはなれないため使われない
<G-type star> subclass of <star> すべての個々のG型星(<G型星>のインスタンス)は、恒星でもある。つまりクラス<恒星>にも属する。 * instance ofは<G型星>が単体の星ではなく、<恒星>の種類であるため使われない
  • part ofは<G型星>の個々のインスタンスが集合して<恒星>のインスタンスを形成しているわけではないため使われない
<X> part of <Y> インスタンス インスタンス
  • インスタンスXはインスタンスYの一部分である
  • Yの様々な部分(X含む)を合わせるとYの全体になる
<USS Nimitz> part of <Carrier Strike Group Eleven> <ニミッツ>は具体的な航空母艦で、<第11空母打撃群>は具体的な空母打撃群で、<ニミッツ>は<第11空母打撃群>の一部分である(その旗艦)
  • instance ofは<第11空母打撃群>がクラスではないため使われない
  • subclass ofは両方ともクラスではないため使われない
<People's Republic of China> part of <Asia> <中国>と<アジア>は両方とも特定の地理であり、<中国>は<アジア>大陸の一部分である
  • instance ofは<アジア>がインスタンスであるため使われない(なお<アジアの国家>はクラスであるため、<中国>は<アジアの国家>のインスタンスであるということはできる)
  • subclass ofは両方ともクラスでないため使われない
<Sun> part of <Solar System> 両方とも個別の天体であり、太陽系は太陽や惑星やその他太陽の近傍にある物体から構成されている。 * instance ofは、後者が個別の天体であり、包括的な概念ではないため使われない
  • subclass ofはどちらもクラスではないため使われない
クラス クラス クラスXのインスタンスはクラスYのインスタンスの一部分である <flight deck> part of <aircraft carrier> 全ての航空母艦(<航空母艦>のインスタンス)にはそれぞれ飛行甲板(<飛行甲板>のインスタンス)がある
  • instance ofは<飛行甲板>がクラスでありインスタンスでない(特定の飛行甲板、例えば<ニミッツの飛行甲板>、のみがインスタンスになる)ため使われない
  • subclass ofは前者のインスタンス(例えば<ニミッツの飛行甲板>)が後者のインスタンス(例えば<ニミッツ>)と同じでないため使われない
<member state> part of <international organization> <加盟国>のインスタンスは<国際機関>のインスタンスの一部分である
  • instance ofは前者が概念であり、特定の国(例:<中国>)を示さないため使われない
  • subclass ofは<加盟国>のインスタンスが<国際機関>のインスタンスでないため(例えば、中国は国際機関ではない)使われない
<star> part of <galaxy> 恒星は通常、単一の銀河の中にあり、その銀河は多くの恒星やその他の天体からなる。
  • instance ofは<恒星>が<銀河>の実例でないため使われない
  • subclass ofはクラス<恒星>のインスタンスがクラス<銀河>のインスタンスでないため使われない
  • なお、上記の例はあくまでも説明のためのものであり、ウィキデータで使うべきではないものも含まれる。これはより具体的な関連性を記述するべき(例えば、「<中国>大陸<アジア>」とすべき)だからである。

has part(s) (P527) vs. has part(s) of the class (P2670)

以下の表でhas part(s) (P527)has part(s) of the class (P2670)の違いを説明します。

has part(s) (P527)はクラスとクラスあるいはインスタンスとインスタンスの関係に対して使うべきです。

has part(s) of the class (P2670)はインスタンスとクラスの関係に対して使うべきです。 もしhas part(s) of the class (P2670)の制約違反を見つけたら、

has part(s) (P527)has part(s) of the class (P2670)の違い
Property X Y 表す意味 説明 使用しないプロパティとその理由
<X> has part(s) <Y> インスタンス インスタンス インスタンスXはその一部分や構成要素の中にインスタンスYを持つ <United States Congress> has part(s) <United States Senate> アメリカ合衆国議会は、上院と下院の2つの部分からなる
  • has part(s) of the classは<アメリカ合衆国議会>と<アメリカ合衆国上院>が具体的な対象であるため使われない
<Solar System> has part(s) <Mars> <火星>は<太陽系>の中の1つの惑星である
  • has part(s) of the classは<太陽系>と<火星>が具体的な対象であるため使われない
クラス クラス Xのインスタンスはその一部分や構成要素の中にYのインスタンスを持つ <body> has part(s) <head> 一般的に<体>(解剖学的な部位)は<頭>をその一部分として持つ
  • has part(s) of the classは<体>と<頭>がどちらもクラスであるため使われない
<galaxy> has part(s) <star> <銀河>は<星>をその一部分として持つ
  • has part(s) of the classは、<銀河>と<星>がどちらもクラスであるため使われない
<X> has part(s) of the class <Y> インスタンス クラス 特定の項目Xは、その一部分や構成要素の中にクラスYのインスタンスを含む <University of Cambridge> has part(s) of the class <college of the University of Cambridge> <ケンブリッジ大学>はカレッジを一部分として含む
  • has part(s)は、<ケンブリッジ大学>はクラス<ケンブリッジ大学のカレッジ>を一部分として含まず、その代わりカレッジが一部分として含まれているため使われない。
<Solar System> has part(s) of the class <inner planet of the Solar System> <太陽系>はその一部分として1つ以上の<内惑星>を含む
  • has part(s)は、<太陽系>はクラス<内惑星>を一部分として含まず、その代わり惑星が一部分として含まれているため使われない
<Albert Einstein> has part(s) of the class <human brain> <アルベルト・アインシュタイン>は<ヒトの脳>を一部分として含む
  • has part(s)は、<ヒトの脳>はクラスで、インスタンスではないため使われない(彼自身はその一つを持っているとしても)。

クエリ

あるクラスのメンバーを見つけるために、Wikidata Queriesを利用することができます。たとえば「文学作品」のサブクラス全て。その助けとなるWikidata Query Builderもあります。

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関連項目


脚注

  1. https://www.w3.org/TR/rdf-schema/#ch_type
  2. https://www.w3.org/TR/rdf-schema/#ch_subclassof
  3. https://www.w3.org/TR/rdf-schema/#ch_subclassof


外部リンク